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「もしかしてチョコレートですか?」 今日はバレンタインだ。 もしかしたらこれは、このお爺さんのお茶目なドッキリなのかもしれない。 「開けてみなさい」 俺は老後の暇潰しに付き合う気持ちで、素直に金色のリボンをほどく。そしてパカリと赤い箱を開けると、中から出て来たのはチョコかと思ったら何処かの鍵だった。 それも家の鍵よりも小さくて薄い造りで、持ち手の部分には赤いハートのシールが貼られている。 「これって…」 と、顔を上げた俺は暫く静止する。何故ならば、いつの間にか目の前にいたはずのお爺さんが消えていたからだ。 …あれ?何処に行ったんだ? 結局、暫く辺りを探してみたけれどお爺さんの姿は何処にも見当たらなかった。
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