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中学生になって僕は私立中学に進学した。大体二年ぶりに会う仲間達と談笑をしていると僕がいた小学校の話になった。
「呪いの音楽室って知ってるか?」
嫌なことを思い出させるものだ。僕は適当に相槌を打った。
「うん…… 女の子が首吊ってるんだから呪われてるわな」
「ちげーよ。音楽室でリコーダー吹いてると『大きい指…… いいな』って聞こえてくるんだよ」
よくある学校の怪談と言う奴か。赤いちゃんちゃんこや赤マントや「あたし、綺麗?」の亜種的な話だろう。「指」と言うのが引っかかっていたが僕のあまり出来の良くない脳みそは「指」の事をすっかり忘れ去っていた。
「で、それから『大きい指…… 欲しい』って言うんだよ。その問いかけに対して「良いよ」って言うとスパって全部切られて持っていかれるんだ」
「ケジメでもつけなきゃいけないわけ?」
「これで断ると『大きい指、羨ましい、憎い』って言って全部切られて落とされるんだ」
「はいでもいいえでも最悪じゃないか」
「だろ? もう5人もスパスパやられてるらしいぜ」
「どうせ裁断機で間違ってザクりといったとか、音楽室で紙切る作業やってる最中にカッターナイフでスパッと軽く切ったって話が独り歩きしてるだけだろ?」
「合理的だねぇ。でも確かめてみたいじゃないか」
「別にどうでも良いよ。あんなクソ学校で起こることなんて」
「お前が2年間転校してた先だろ? お前の新しい新居まだ行ってないことだしさあ、ついでに噂が本当か確かめたいんだよ」
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