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「もう一曲」
面倒くさいな。僕は仕方なく楽譜無しでも吹ける曲を頭の中に思い浮かべると、真っ先にエーデルワイスが思いついた。この学校に転校してきた当時は「小学校三年生のリコーダーの吹き始めにやる曲なのに何故吹けない」と、なじられたものである。僕の転校前の私立の学校は音楽の授業が無かったと言っても「言い訳するな」と一蹴された事を思い出しムカムカしてきた。僅かに気分が暗くなったところで僕はエーデルワイスを吹き始めた。
翻訳者によって日本語訳に差が出るエーデルワイスだが納得できない所がある。僕の使っている教科書では「悲しい心慰める花」とあるが、この曲自体が物悲しいし、リコーダーが上手く吹けない僕からしたら慰められねぇよクソが。と、言ったどうでもいい事を考えたその時、ついに来てしまった。
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