【六】

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【六】

「あの時、お前スゲー怯えた顔してたっけなー! いいこと教えてやろーかー? あの時な、信号の下で『軍服を着た兵隊さん』が、お前の事をじーと睨んでたんだぞー」    はははははーッ! わざと爆笑してやった。  半分嘘だが、半分事実だ。  僕は無性に怒っている。 「煩い、黙れ!」 「はあ? なんだってー?」 「煩いから、黙れと言ったんだ。何が悪い」 「ぜーんぶ、お前が悪い!」  この際だから言わせて貰おう。 「あのな、お前とは『一生を誓い合った』よな? それは恥ずかしいことなのか? どうだ、答えてみろ!」 「恥ずべきところは一点もない。それがどうした?」 「そうだよな。だったらどうしてあの時、社長さんの前で僕の言葉を遮ったんだよ!」 「それは……」 「言えないか? 言えないだろうな。じゃあ、教えてやろう」
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