【序章】

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 彼らは、独身のまま身重で実家に戻ってきたひとり娘を、愚痴ひとつ零すことなく受け入れたという。  そして、生活が始まってからも、自分達の生活スタイルを崩さず、孫の置かれている状況を悲観するでもなく、特別に猫可愛がりするでもなく、働く娘に不足している部分の『子育て』を淡々と補っていた。  そのような環境に育った孫は、彼らに大切に見守られながら、優しい心根と、『そのままの自分で良い』という独自のアイデンティティを、成長の過程で確立していた。
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