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洗濯物を干すという行為を僕がこよなく愛していることを知っているあいつは、敢えて手伝いを買って出ることはない。
(因みに、取り込んで畳むのはあいつの担当だ)
待っている間、あいつはあいつで報道番組をザッピングする。「社会にアンテナを張ることも大切な仕事の一貫だ」と言うだけあって、かなりの情報通だ。お蔭で、客や従業員達との話題に事欠くことが無い。
さすが! 僕の自慢の伴侶で、尊敬する我社の社長だ。
独自のこだわりを遺憾なく発揮することができる洗濯干しは、自分にとって日常生活におけるお手軽なストレス解消だ。生地の素材、厚み、形状を独特の順序を作ってピンチで留めていく。鼻歌交じりで気持ち良く干し終えると、それらに万遍なく風が行き渡るような角度に扇風機を調整し、タイマーをセットすれば終了だ。
気持ちが凪ぐ瞬間だ――
明日から僕達はお盆休みに入る。
今夜は少々無理をしたって大丈夫だ。
――夏の夜は短い。
――一緒に楽しもう。
――シーツの海で存分に泳ぎまくろうぜ。
――なんだったら、途中からイニシアティブを入れ替えたって良い。
「おーい! 終わったぞー。早くベッドに行こうぜ!」
「ああ。すぐに行くから、先に行って待ってろ」
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