遼太の災難~ブレーキ~

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 何に? 会えた? 「高校生の遼ちゃんに!」  高校生の、俺?  寝転がったまま、ひよは俺の胸に頬を付けてギュッと抱きつく。仰向けのままひよの顔を覗き込むと、目を閉じたまま何かを思い出すように。 「ずっと、ずっと会いたかったの。高校生の時の遼ちゃんに」  目を閉じているひよの頭をゆっくり撫でた。  もしかしたら、同じ気持ちなんだろうか。同じくらいの年だったら良かったのにな。二度とは戻らない貴重な時間を2人で共有したかった、って、切に思う。  でもな、ひよ。 「今の俺は?」  ちょっと意地悪な質問かな。  俺の胸の上でパッと目を開いたひよはその身を起こした。 「遼ちゃんは遼ちゃんだもん! 大好きだもん!」 「よし、ごーかく!」
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