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はね上がったひよりの手が俺のワイシャツを掴んだ。
「遼ちゃ……っ! や……ぁっ」
「ちゃんと教えられる?」
ひよが首を振った。
なんでだよ。
「遼ちゃん、こんなのやだ」
ひよの事になると俺、しょうもないと分かっていても、どうにも不安で堪らなくなる。俺は立場上、アイツに「何を聞いた?」なんて聞けないんだよ。
ひよりの手が俺の手を振りほどいた。そして、離れて立ち上がる。前にもこんな事はあったけど、今回はちょっと違う。
ポロポロ涙流しながら……怒ってる?
ひよ。正直、叫びたいくらい、もどかしくて、苦しい……そうか、俺、苦しいんだ。
「どうしてそんな事聞くの? あたしは遼ちゃんが好き、それでいいでしょ?」
そういう事じゃないんだよ。ひよはまだ高1で、16年足らずしか生きてなくて、本当ならたくさんの出会いをしなきゃいけないんだ。俺の中の言葉に出来ないものが焦りに繋がってる。
「どうしてわかんないんだよ」
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