▽エピソードその十一▽

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「うふふ。何だか恥ずかしい。」 「その照れた仕草も可愛いし、この時間がずっと続けばいいのになと思ってる。」 本当にそう思っている。彼女を腕の中に抱いている時間が、今のボクにとっては最高の時間なのだから。 「私も。」 店内では割と大きな音量でBGMが流れているのだが、今のボクにはその音楽も聞こえない。イルミネーションもミラーボールもボクの目の前では止まって見えている。 「いつも優しくしてくれてありがとう。ずっと優しかったのアッくんだけだった。」 「キミを傷つけたくないだけ。だって好きなんだもん。」 「これからも優しくしてくれる?」 「ボクにも優しくしてね。」 「うふふ、どうすればいいの?」 「こうやってボクに抱っこされてればいいのさ。」 するとミウは「くくくっ。」っと笑い出した。 「どうしたの?」 「だって、私の絵。どこに飾ればいいの?恥ずかしくてどこにも飾れないし。」 「ボクの部屋にはコピーしたものを飾ってあるよ。」 「ええ?それってとっても恥ずかしい。」 「いつもキミの笑顔が見られる様にさ。」 「今度ね。アッくんのお部屋に行ってあげる。行ってもいい?」 「もちろんさ。綺麗に片付けておくよ。」     
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