▽エピソードその十一▽

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「私のデッサンも片付けておいてね。恥ずかしいから。」 「うん、わかった。」 なんともサプライズな約束だ。 まるで夢のような話だ。その言葉を投げかけられた瞬間から、ボクの頭の中はまるで春風に包まれて、花畑を散歩しているかのような居心地になった。 またもや心臓がドキドキしはじめる。 ボクはミウを膝からおろして隣に座らせた。 少し喉が渇いたのでドリンクでその渇きを潤したとき、ミカさんが覗きに来た。 「よろしくやってるわね。」 危ないタイミングだった。さすがにミウを膝の上に乗せているところを見られるのは、ボクも少し恥ずかしい。 ミカさんはミウとは反対側の隣に座り、ボクの腕に手をかける。 「ミウちゃん、いい人が見つかってよかったわね。この人ね、あなたのことをホントに好きなんだなってすぐにわかったわ。だって、他の女の子が隣に座っても、とっても素っ気無かったのよ。ヘルプの女の子が可哀想なくらい。」 「そんなことないですよ。まるでボクが冷たくあしらってたみたいじゃないですか。」 「そんなこと言ってないわ。ミウちゃんを見る目だけが違ってたって言いたいだけよ。」 「こんなところで油を売ってていいんですか。」
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