▽エピソードその一▽

5/9
前へ
/130ページ
次へ
ボクの受けたファーストインプレッションはまさにそんな感じだった。彼女は髪も染めておらず、透き通るような色白で化粧も薄くナチュラルだ。隣に住んでいる同級生の妹。そんなイメージがピッタリの彼女だった。 「こんばんわ、初めまして。」 ボクも同じような挨拶を返す。 すると彼女は、いきなりボクに抱きついて唇を合わせにきた。ボクもそれに応えるように彼女を抱きしめた。 しばらくの時間、ボクの息と彼女の息が挨拶を交換する時間が流れていた。その間、ボクの耳には彼女の吐息と心音しか聞こえていなかった。 何分経っていただろう、ようやくお互いの吐息と匂いを確認できた頃、彼女の体がスッと離れた。 「今日は指名してくれてありがとう。」 ニッコリ微笑んだ笑顔がとってもかわいい女の子だった。 「よかった、可愛い子で。ちょっとドキドキしてたんです。」 「で?どうでした?気に入っていただけましたか?」 「はい。普通の女の子っぽい雰囲気なので安心しました。ボク、化粧の濃い女の人がダメなんです。匂いもきついし。」 「私ね、まだ学生なんです。就職活動もしなきゃいけないし。」 「ということは今年二十二歳ですか?」 「はい。」 「じゃあボクと二つ違いですね。」
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加