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ミサはそのままボクの腕に寄り添うように頬をあてた。
とっても幸せな時間だと感じる。
ミウではなくミサとして彼女を迎え入れて最初に歩く道のり。この時をどれほど待っていたことか。
自分の部屋の前に着いたとき、なぜだか妙な緊張感が胸元を走る。
彼女がそっとボクの顔を見上げた。
「大丈夫。でもちょっと緊張する。」
「ボクもだよ。」
そしてドアを開け、玄関に入るやいなやミサをグッと抱きしめた。彼女もボクの背中に腕を回して応戦してくれる。
「キスしてもいい?」
「うん。」
ボクは待ちきれなかった。ミサの唇を、匂いを、やわらかな感触を。一分一秒でも早く思い出したかった。
ほんの数秒だったが、これでボクの衝動は一旦収まる。
「会いたかった。」
彼女から切り出した言葉だった。ボクが待ち望んでいた言葉だった。ボクはもう一度ミサを抱きしめてキスをした。
唇が離れると、彼女から次の言葉が放たれる。
「ずっとここで、こうしてるの?」
「確かに。あんまり綺麗じゃないかもしれないけど、中へお入り下さい。」
ミサはリビングの入り口に立ち止まり、あたりを見渡すように部屋中を凝視していた。
そしてコタツを見つけると、一目散に潜り込む。
「お茶、淹れるね。」
「アッくん気が利くぅ。」
お茶と言いながら用意していたのはダージリンである。あっという間に部屋中に広がる紅茶の匂い。
「紅茶ね。いい香り。」
温めてあったカップに注いでミサの前に置いた。
「お待ちどうさま。こちら、ダージリンでございます。」
「うふふ。喫茶店みたい。」
ボクはミサの隣の辺に座り、まずは無事に試験が終わったことをねぎらった。
「やっと終わったね、試験。できたでしょ、ミサちゃんがんばってたから。」
「うん、きっと大丈夫。それよりも今日のランチの方が緊張するかも。今日はね、ミートグラタンを作ってあげる。」
「そんな高度なものができるんだ。楽しみだなあ。」
「ちょっとだけ休憩させてね。」
そう言って両手をコタツの中に入れた。
「もっとそばに行ってもいい?」
やや遠慮がちに聞いたつもりだったが、彼女は黙ってすぐ隣のスペースを空けてくれる。
ボクはぴったりと体がくっつくほど、狭いスペースに無理やり押し入り、彼女の全てを感じ取ろうとしていた。
ちょうど真後ろにはソファーがあり、いい背もたれになっている。ボクは彼女の肩に腕を回して抱きしめる。
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