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運ばれてきたミートグラタンはとても美味しそうだった。そしてグラスにカクテルを注ぎ、二人の記念日に乾杯。昼の宴が始まる。
「お店も卒業、試験も終了、あとは学校の卒業と勤務先の決定だけだね。」
「うん。でもお店のことは忘れてね。アッくんと出会う為の場所だったっていうことにしておいてね。」
「タイミングもちょうど良かったんだよ。」
「ん?」
「ボーイさんがね。最近、若いお客が減ってきたような気がするって言ってたし、ミウちゃんとしてもおじさんばっかりじゃ嫌だっただろうしね。」
「もうその名前は忘れて。そしてあのお店のことも。」
「大丈夫。もう言わないよ。それよりもコレ、とっても美味しいよ。」
「よかった。山盛り作っちゃったからドンドン食べてね。」
「残ったら明日の分にするよ。これなら一週間ぐらい食べられそうだ。」
「きっとそれは無理よ。うふふ。」
そんな会話も楽しかった。
「ごちそうさまでした。」
彼女の作ったグラタンは本当に美味しかった。不思議な香りもした。例のスペシャルな香辛料の効果だろうか。トマトベースのデミグラソースも刺激的だった。彼女は赤いソースと肉が好みなのである。
お腹の欲求が満たされると、普通は睡眠の欲求に駆られるものだが、今日は目の前に麗しき乙女が鎮座している。睡眠よりも本能の欲望が優先される。
ボクだって草食男子ではない。目の前にあるご馳走に手が出ないわけもない。
彼女の手を握り、肩を抱き寄せ、奪うように唇を求め、そのやわらかな感触を味わった。
すでにその態勢に入っていた彼女は、虚ろな眼差しでボクを見上げ、
「今日はいいのよ。」
といってボクの首に腕を回した。
その瞬間、ボクの中のスイッチが入り、欲望のギアが一気にトップへシフトアップされる。
トレーナーを剥ぐと薄手のインナーがピッタリと体にフィットしており、見覚えのあるボディラインのシルエットが目に飛び込んでくる。
さらにそのインナーも、そしてスカートもストッキングも優しく剥いでいく。彼女も腰を浮かせながらボクの動作を促していた。
同時にボクも着衣を一枚ずつ剥ぎ取って、お互いに上下が残り一枚ずつになったとき、ボクは彼女をベッドへとエスコートしていく。
もう誰にも止められない。ボクが彼女の恋人になるための儀式。そう思っていた。
すべるような肌、やわらかな唇、うっとりする匂い。その全てがボクを翻弄する。
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