▽エピソードその十三▽

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ボクは彼女のブラをはがして、その目線の先に美しい丘陵を発見する。 見たことのある景色ではある。しかし、明るい光源で見渡す景色は初めてだ。これはこれで大いに美しい。今までに見た光景のなかでは最も美しい。 そっと手を添えると、ピクリと反応する。 「キスしてもいい?」 いつものように尋ねると、 「うん。」 小さな声で、たった一言が返ってくる。 その返事を聞いて右の丘陵と左の丘陵の頂点にある石碑への挨拶を交互に行う。丘陵の山肌はいつにも増してしなやかだ。 ボクの手がその丘陵のしなやかさを堪能している間、彼女の手はボクの剣へと手を伸ばしてきた。今度はボクがピクリと反応する。 狼としての本能が解き放たれたのはこの瞬間だろう。ボクは猛烈に彼女の唇をもとめ、さらにその奥に鎮座する女神様へも強引な挨拶を施した。 先遣隊となったボクの右手は、彼女の最後の着衣となる小さなテントの中に滑り込んでいた。その奥には小さな繁みと渓谷があり、さらに奥に進むと洞窟を発見する。その洞窟はじっとりと濡れ、震えるように蠕動していた。 それを確認した先遣隊は、ゆっくりと洞窟の中の探索を始める。上部、下部、中部とくまなく探索を行う。先陣が矛先を変えるたびに女神様の祈る様な声が聞こえてくる。そのたびにボクの首に巻かれた腕が、その半径を縮めていった。 やがて彼女からキスを求めるようになると、ボクは思い切って最後の一枚を剥ぎ取った。すると彼女もボクの最後の一枚を剥ぎ取り、天に向かって怒りを露にしていた剣を優しくなだめるように撫でていく。そしてするするとしゃがむようにして体を縮め、猛々しく天を向く剣をを彼女の女神が鎮座している祠へと導いていた。 「おお。」 なんという感触だろう。今までに味わったことのない高貴な痺れだ。ボクは彼女にその行為を続けさせたまま、洞窟探検を行うこととした。体を入れ替えるようにして、彼女の洞窟が目前に来るように移動する。目の前に広がる洞窟の入り口は、すでにじっとりと濡れ、妖しく光っていた。 ボクの鼻腔は躊躇なく洞窟への侵入を試みる。しかしその入り口は狭く、我が剣でしか謁見できないだろうと思われた。さらには、その洞窟が放つ花園のような芳香に我を失いかけるのだが、その間中、彼女の女神様による攻撃は留まることを知らず、ボクは紛れもない第一の放銃を暴発せざる得なくなる。 「ダメだ。ダメだよ。」
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