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▽エピソードその二▽
ボクはあの日の夜、帰宅するとすぐさまパソコンに齧りついていた。
目的は『ピンクシャドウ』のホームページを調査するためである。お目当てのホームページはすぐに見つかった。その中でもミウに関するページをさらに調査する。
すると、まず目に付いたのが出勤情報である。彼女が教えてくれた日月金の曜日に彼女の出勤スケジュールが掲載されていた。しばらくはこの出勤パターンが続くようだ。
「なになに、開店時間は夕方六時からか。八時までに入れば少し割安なんだな。」
などと細かい情報を入手していく。
次いで女の子一覧を探索してみる。
彼女たちは源氏名順にプロフィールが紹介されていると同時に、スリーサイズや趣味特技などが掲載されている。
ボクは迷わず《ミウ》のページを開く。すると次のような内容が記されていた。
年齢、二十一歳。趣味は海外旅行、特技はテニス。チャームポイントは笑顔で、性感帯は耳だって。そんなことまで書いてあるのかと思った。
しかし、年齢は二十二歳って言ってたような気がする。もしかして最近誕生日を迎えたのかな。今度会ったら聞いてみよう。
あの時、聞けなかった彼女についての情報がどんどん入ってくる。便利な世の中である。
好きな男性のタイプが「尊敬できる人」だって。ボクには程遠い偶像だ。それでも彼女に対する感情が変わるわけでもない。
つまりは、こういうことに免疫の無いボクは、たった一夜でいけないパターンへとはまっていくということになるのだ。
そして次に会いに行くタイミングを想定し始めるのである。
再訪の機会は思わぬタイミングで想定よりも早く訪れた。
彼女に初めて会った日の翌々日。
ボクは日曜日であるにもかかわらず、仕事に駆り出されていた。
しかも自分の職場ではない。得意先のイベントブースである。
ボクの仕事は酒の卸売関係であり、この日は得意先が毎年参加している埼玉県のある町の日本酒フェアというイベントだった。
朝から一日、一般のお客さん相手に日本酒を販売するのである。お祭りなのだから、売り方も投げ売り状態である。どれだけサービスすれば気が済むんだというぐらいの騒ぎようだ。おかげで売り子をさせられたボクは食事休憩を少しとっただけで、売り切れになるまでの時間、ずっとバタバタし通しだった。
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