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週末には新しいパズル本の探索に本屋に行って、あとはカフェでのんびり過ごそうかと思っていたところである。従って、金曜日の今日は大人しくアパートへ帰るつもりだった。
しかし、友情も大切な絆の一つである。折角のお誘いを無碍にしてはならない。
―『ロッキー』だけは付き合うよ。―
そうメールを返して退社の準備を進める。十月とはいえ、日中はまだまだ滴り落ちる汗が不快なよどみを演出しており、そろそろビールが欲しくなるタイミングでもあった。
『ロッキー』とは新宿駅西口付近に店を構える、ヒデの大学時代の先輩であるケンさんがオーナーとして仕切っているバーだ。ちなみにボクとヒデは同じ大学ではなかったが、ともに静岡から東京に出てきて今に至っている。
『ロッキー』に先に着いたのはボクだった。
「こんばんわ。ヒデはまだですか?」
「おう、アキラか。もうすぐじゃねえか。電話あったぜ、二人で来るってな。そこのカウンターで待ってな。で、何飲むんだい?」
「とりあえずはビールを。」
などと言ってる間にドアが開く。
「よっ、待たせたな。」
「いや、今来たとこだよ。」
「先輩、オレもビールを下さい。」
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