▽エピソードその四▽

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ある日のこと、お得意先への御用聞きの帰り道、上司から電話が入る。 「すまんがな、新宿の百貨店に寄って菓子の折り詰めを買って来てくれ。ちょっとしたクレームが入ってな。不動君の得意先じゃない、谷口君の担当の店だ。それでオレも一緒になだめに行くんだが、手ぶらじゃな。確かにコッチのミスのようだし。三千円ぐらいでいい、どうせ通るだろ?新宿。」 まさに今、新宿駅を降りたところだったボクは、 「わかりました。丁度新宿駅に着いたところです。三千円程度の菓子折りですね。何時までに戻ればいいですか?」 「資料も作らなきゃいかんから、一時間後ぐらいだよ。そう急がなくてもいい。」 これはラッキーだ。どうせならミウへのお土産探索もしてこよう。ボクは急ぎ足で新宿の百貨店に向かった。 どうせ菓子折りなんかどれもさほど違いは無い。適当に三千円程度のセットを購入し、あとはお土産選びへとシフトチェンジしていく。 店内はクリスマス戦線真っ只中であり、あちらこちらで金銀紅白の飾り付けがされていた。 クリスマスのプレゼントは面白いものを考えてある。それとは別に普段のお土産を探したいのだ。 そんな目線で店内を色々物色していると、ある雑貨屋が目に付いた。そこには食品をかたどった小物などがあり、しかも種類も豊富だ。ボクはその中からリアルな描写のビスケットやステーキのメモ帳と手触りがプニプニと気持ちよかったチーズのキーホルダーをチョイスした。 これでとりあえずのお土産は万全だ。ボクはスッキリした気分で会社へ戻った。 多忙のお陰でボクの帰宅時間は毎日夜の十時を越えていた。 十二月のクリスマスと年末戦線、酒を扱う業界としては仕方のないことだ。いやいや、今の時期に売れないとウチの会社は潰れてしまうだろう。 帰宅するころには、毎日かなり疲れている。それでもパソコンに向かって、例のホームページだけはチェックするのが日課となっている。 ミウの出勤は今や週に二日のみ。少なくとも、今までもそのタイミングでしかブログの更新はされていない。しかも毎回でもない。確かに彼女は苦手だと言っていた。 それでも最新の情報がないかと探してみるのである。 「今日も無いか。」 などと呟きながら、他の女の子のブログを覗いてみる。そこには、何を食べたとかどこへ行ったとか、今週は何曜日に出勤だとかが書かれている。
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