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「じゃあミサちゃん。学校が近くなの?」
「ちがうの。今日はね、お母さんの誕生日なの。だからプレゼントを買いに来たの。これからみんなでお祝いしに行くの。」
「それで今日はお休みになったんだね?」
「そう。ちょっと遅く帰る夜もあるから、ご機嫌取りをしておかなきゃね。」
「それって親孝行なのかな?」
「心配かけないって言う意味でね。」
「ゆっくりできるの?一緒にお茶する?」
「えーと。この後、弟と待ち合わせだから、デートは今度でいい?」
「いいの、そんなこと言って。期待しちゃうよ。」
きっと、上手く断る言葉が見つからなかったのだろう。ニッコリ微笑んで、ペロッと舌をだした。
「うふふ。」
そして、耳打ちする様にそっとささやく。
「日曜日は来てくれるの?」
「もちろん、行くに決まってるさ。また指名してもいいかな。」
「待ってるわ。」
それだけ言ってミウは自分のコーヒーを注文カウンターへチョイスに行く。
「奢ってあげるよ」っていうのに、「大丈夫」といってボクに手を振る。
ボクにも次の仕事が待っているので、あまり長くのんびりはしていられない。
「じゃあね。」
それだけ言い残して、ボクも手を振って店を出た。
ミウがボクの耳元でささやいた「来てくれるの?」に対して、「デートしてくれるならね。」と言いかけたけど止めた。そんなことを訪問することの条件にしたくなかったし、「じゃあ来なくてもいいわ。」なんて言われるかもしれないと思うと、恐くて言えなかったし。
ホントは仕事をサボってでも一緒にお茶をしたかったけど、待ち合わせがあるって言われるとね。弟クンが来たらボクのことを説明するのは難しいだろうし・・・。
でも奇跡的に彼女と出会えた今日の瞬間。神様がいるなら感謝したい。
少し物足りない気もしたが、贅沢を言わずに満足しておこう。
出会えたこと自体が奇跡なんだから。
それからのボクは、ますます馬力に拍車がかかり、夜遅くまで残業に勤しんだ。
いろんなことに充実感を味わいながら。
さて、次の日曜日が楽しみだ。
翌日の土曜日は完全休養日となった。
忘年会の翌日に出勤したお陰で、この日は優先的に休養日をもらえた。
昨日はテンションだけが妙に高くて、ビジネスハイみたいな状態。その疲れが翌日に重くのしかかっている。
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