▽エピソードその六▽

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いつもの通り『ピンクシャドウ』のホームページを開いて、ミウの出勤情報に変わりが無いか確認する。そして次にはブログのページに移るのである。しかし、ミウのブログは今日も更新されていなかった。筆不精なのは仕方がない。 あとは彼女へのお土産を模索していく。この時間はこれで楽しいのである。 これまでのエピソードや彼女のイメージ、そして一昨日から昨日にかけてあった出来事、そんなことを踏まえながら、プレゼントを探し出していく。もちろん、話題性を持って選ばなければならない。渡してお終いではダメなのだ。 そしてボクは思いつく。とっても素敵なプレゼントを。 「よし、午後からは買い物に行こう。そしてその足でミサに会いに行こう。」 もうこの頃には、ボクは単なるミウの客ではなく、ミサの恋人候補のつもりになっていた。チャレンジできる期間はあと二ヶ月程度。彼女を恋人にしたい、ずっと一緒にいたい。 そんな気持ちが確実になった瞬間であったかもしれない。 そして午後。 ボクは新宿にいた。 彼女へのプレゼントを買うために。 その店はとある百貨店の隣にあるビルの五階にあった。いわゆる専門店街なのだが、ココは一風変わった店ばかりが集まっていた。 アーミー専門店、アニメキャラ専門店、鉄道オタク専門店など、それらのマニアにとっては堪らないだろう店が並んでいる。 ボクの趣味はパズルとドライブ。小さいながらも小気味良いクルマを持っている。ときおり一人で夜な夜なドライブに出かけたりもしていた。 一人で出かけて淋しくないかって?そんなの淋しいに決まってるじゃない。 それは一先ず置いといて、ココにはクルマの専門店はないようだ。 パズルの専門店にも興味はあったが、今日の優先はパズルではない。プレゼント探しが目的なのである。 いくつか物色した後に、ボクが入った店は食品サンプルの専門店だった。 そこにはマグネットや耳かきなどの小物から本格的なサンプルまで、充実した品揃えのある店だった。これなら話題性に事欠かない。そう思ったボクは、その中からお手軽で、しかもリアルなものを二つ選んだ。 何で二つ?もちろん、お揃いで持つために決まっているじゃん。ペアルックじゃないけれど、同じ物を持ってるってことが、なんだか繋がっている感があってうれしいじゃない。 そしてその店を出たボクは次の獲物を探すように店の探索を続ける。
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