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そんなタイミングでウエイトレスの女の子が注文を聞きに来たので、彼女のカフェオレとボクのホットコーヒーをオーダーした。
ウエイトレスの女の子が立ち去ってから、周りに気を使いながらも、ちょっと緊張気味にミサに尋ねる。
「いつも早くに来るの?」
「そうね。時間があれば、この辺で軽く食事をしてから行くのよ。夜遅くなるから、お腹減るでしょ。」
「そうだね、じゃあなんか食べる?」
「あとでいい。それよりも、アッくんはどうしたの?」
「ボクはちょっとした買い物をしてたんだ。その続きでお店に行こうかと思ってたんだけど、ちょっと早かったね。」
「この間はゴメンネ。突然だったし、やっぱりちょっと不安だったし。でも後から考えるとアッくんならお茶ぐらい全然大丈夫だったのにって、ちょっと反省してたの。」
「全然平気だよ、気にしてないさ。なんて言えばウソかな。ホントは結構ガッカリしてた。折角会えたのにと思って。でも、今日はこんな形で会えたのはすごくうれしい。」
「私もよ。ちょっと期待してたかも。」
やがて温かな飲み物が運ばれてくると、彼女は言葉少なにカップに口を付ける。
「これって、デートだよね。」
ドキドキしながら尋ねているボクがいる。
彼女はニッコリ微笑んでボクの目を見つめたままだ。
ボクは答えに困っているような彼女に、さりげなく投げかける。
「大丈夫。無理に答えなくてもいいよ。」
すると一呼吸置いてから、ボクの方を振り返り答えてくれる。
「デートだよ。でもなんだか恥ずかしいかも。」
やわらかな笑みを浮かべて投げかけてくれる瞳が、キラキラと輝いて印象的だ。
「ありがとう。お茶を飲んだらパスタでも食べに行く?美味しいボンゴレ食べさせてくれる店があるんだ。」
「うふふ。アッくんお洒落なお店を知ってるんだ。いつもは誰と行くの?」
「もちろん独りでさ。ボクはボンゴレが好きなんだ。でもアラビアータやペペロンチーノも美味しいから安心して。」
「うふふ、アッくんだったら何でも安心できるわ。今日ね、アッくんが来てくれるって言うから、少しお洒落して来たの。」
そう言って彼女は首元を見せた。金色に光るネコの形をしたペンダントが光っている。
「それってネコだよね。どうしてネコなの?」
「ネコが好きなの。ウチでもネコがいるし。アッくんはネコ嫌い?」
「いいや、平気だよ。そういえばミサちゃんもネコみたいだね。」
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