▽エピソードその七▽

4/16
前へ
/130ページ
次へ
「カレンちゃんっていってな、日曜日と月曜日以外にほぼ出勤してるのさ。こないだ行った時におまいさんの写真を見せたら、『あっ、この人見たことある』っていうのさ。しかも最近よく来るよって話だし。ミウちゃんっていうんだってな、おまいさんのオキニの女の子。オレんとこにはヘルプに来たことないけど、おまいさんが相当の熱を入れてるって事は、相当の女の子なんだろうな。さあ、白状してもらおうか。」 まさかこんな時にこんなタイミングでけしかけられるとは思ってもみなかった。ただ、あっけにとられるだけだった。 丁度そのとき呼び出しのベルがなった。コレもいいタイミングだった。二人して注文の盆を取りに行ってから元の席へ戻ると、ボクはラーメンをすすりながら、 「他の誰かとの見間違いだよ。」 そう言ってはぐらかそうとしたのだが、 「そうでもないさ。あの手の女の子っていうのはな、客の取り合いとかもあるわけよ。だから他の女の子の客の動向って、結構シビアに見てるモンなんだぜ。オレも他の女の子に色んな指摘をされたこともあるしな。」 もうこうなったらシャッポを脱ぐしかない。 「そうだよ。何度か行ったよ。彼女だと癒されるんだ。でもあの子じゃなかったら二度目はなかった。」 「確かにな。オレが連れて行った店で二度目があったのは初めてだな。紹介したオレも鼻が高いってことよ」 気温のせいか、ラーメンがドンドン冷めてくる。箸の進み具合も遅くなる。 「オレも今度行ったらミウちゃんを指名してみようかな。」
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加