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「けっけっけっけ。実はな、キャバ嬢に恋してるんだよコイツ。しかもかなり真剣だとみたなオレは。それによ、もう彼女とデートしてるみたいだから、結構イケてるんだぜコイツにしては。」
「おおお。」
一斉に皆が驚いたように嘆く。
「さあ、コイツの悩みを聞いてやろうよ。」
「そんなことを酒の肴にするのは止めてくれ。まだ何にもできてないんだから、そっとしといてくれよ。」
「ホントはな、羨ましいんだよ。普通、キャバ嬢と付き合うなんてなかなかできることじゃないんだぜ。オレなんか一度だって食事に誘えたこともないんだから。」
「ああ、オレもないよ。オレも実は気になってるキャバの女の子がいるんだけど、連絡先すら教えてもらえないぜ。なあアキラ、どうすれば連絡先を聞き出せるんだ?」
しゃしゃり出てきたのはテルといって、彼も東京の商社に勤めている。
「知らねえよ。ヒデ、後で覚えとけよ。もう東京へは送ってやんねえからな。」
「まあそう言いなさんな。みんなおまいさんの手口を知りたがってるんじゃねえか。それとどのみちその恋は成就しないだろうしね。」
「だったら、尚更ほっといてくれよ。振られる手口を知ったところで仕方ないだろ。」
「ところがそれが違うんだな。誘い出すまでの手法の方が難しいのさ。どうやらアキラはスタート部分だけは天性のものを持ってるみたいだし。それにコイツは告白して振られたことがないはずだ。いつも付き合ってからなんだよ、アキラ先生が振られるのは。」
テルは大学も東京だったので、ヒデと同じくらいボクの恋愛遍歴を知っている。
「そうだろ、こいつは女に優しいのさ。だからテルの言うスタートは優しさが大事なんだな。それぐらいはオレだってわかってるんだ。だけど何かが違うんだよ。アキラのは。」
「そんなことないさ、一緒だよ。きっとヒデやテルみたいにヘラヘラしてないだけだよ。」
「オレだってヘラヘラしてるわけじゃないさ。」
「でもお前にはいつも候補が三人ぐらいいるからな。それがアキラとは違うところだよ。」
テルがヒデを諌めていたが、矛先をすぐにボクへと移す。
「ところで、写真ないのか?その可愛いキャバ嬢の。」
「ないよ。まだそんな仲になってない。ちゃんとした告白だってできてないんだ。」
「ん?じゃあ何か?同伴のメシを奢らされただけってことか?」
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