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おそらくはコンビニで買ってきたのだろう。ビールにチューハイにポテチにコロッケ、おでんまで買って来てるのだから恐れ入る。
どっかと座った遠慮のない二人は缶をプシュプシュと開けて、勝手気ままに飲み始めるのだ。
「今日、『ピンクシャドウ』に行ってきたのさ、テルを連れてな。それでカレンちゃんに色々聞いてきてやったぞ。」
「大きなお世話だ。」
「彼女の出勤はせいぜい週に三日だそうじゃないか。しかも今月からはどんどん出勤日を減らしてるって聞いたぞ。なんでだ?」
「なんだよ、そこまで聞いてて理由までは教えてくれなかったってことか?」
「って言うか、カレンちゃんもそこまでは知らないみたいだ。」
「じゃあ、知らないでいいじゃん。オレも知らないよ。」
「いや、おまいさんが知らない訳がない。もうデートもしてる仲で知らない訳がない。カレンちゃんもそう言ってたぞ。」
「お前、そんなことまで喋ったのか。店に知れたら彼女が叱られるじゃないか。」
「ん?なんで?」
テルが不思議そうな顔をしてボクに問う。
「食事しただけだし、その後同伴出勤してないからさ。店は知らないことになってる。」
「大丈夫だ、カレンちゃんには口止めしてあるから。それよりも、出勤が減るってことは辞める前兆だって言ってたぜ。ホントか?」
「オレは知らん。それに、そんなことを知ってどうするんだ?オレだってそんな先のことなんか考えたこともなかったのに。」
「だからダメだって言うんだ。もう辞めるかもしれない子なんだぜ。早く落としにかからないと間に合わねえだろ。」
「ほっといてくれないか。オレが彼女目当てに何度か店に行ってる事は事実だし、一度だけ食事したのも事実だ。でもそれだけなんだよ。お前たちに背中を押されたところで、それ以上先に飛び込むかどうかは別の話だよ。」
すると、今まであまり口を開いていなかったテルが言うには、
「あのな、オレたちは本気でお前の恋愛が上手くいけばいいと思ってるんだ。例えそれがキャバ嬢でもだ。アキホちゃんはそのミウちゃんって子のことをあまり知らないようだったが、ヘルプに来た女の子はいい子だよって言ってたし、それならお前を応援してやろうと思ったのさ。」
「気持ちだけ受け取っておくよ。」
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