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「アキラに頼みたいのは他でもない。ちょっとしたPOPを作って欲しいんだ。オレってパソコンが苦手だろ、だからアキラに頼みたいのさ。」
「簡単なのでよければやりますよ。ボクもプロじゃないので、センスを問われると困るんですけど。」
「いいんだ、店の名前とオレの写真とが入っていれば。年明けに客寄せのイベントをしたいんだが、店の前に新しいPOPを貼りたいのさ。色合いは赤と黄色の色調をメインで。タイトルは二、三日のうちにメールするよ。写真だけテキトーに撮っといてよ。」
「そんな手作り感満載のPOPでいいんですか。客入りに影響しますよ。」
「素人作りっぽいのがいいんだ。この店のウリはアットホームだからな。ところで、こないだの店はどうだった?早く帰っちまったみたいだけど、気に入らなかったかい?」
ああ、やっぱりその話を切り出すのか。ボクの表情が一瞬怪訝な様相に変わる。
「いや、楽しい思いをさせてもらいましたよ。でも、ボクには贅沢すぎる遊びなので、早々に退散させてもらいました。」
「ふん、たまの遊びなんだ。ちょとぐらい贅沢な方が丁度いい。自分へのご褒美だと思って奮発しないと、ストレス溜まって病院行く方が高くつくぜ。」
「ケンさん、こいつはもしかしたらゲイかもしれませんよ。今度はそっちの店を紹介してやったらどうですか。」
「バカ、オレはいたって普通だよ。でもあの店ももう行かないよ。」
「ということは、別の店だったら行くかもってことかな?じゃあ決まりだ。今夜はPOPを作ってもらうギャラの代わりに別の店に招待しよう。もちろんオレの奢りだ。」
「えっ?どうすればそんな展開になるんですか?」
「へへへ、この間はケンさんの馴染み店。今度はオイラのオキニがいる店さ。」
「まあ似たような感じだったけど、全体的に女の子の年齢が若かったかな。」
「えっ?ケンさんも行ったんですか?」
「ああ、次の日にな。お前さんの女嫌いを治してやろうと思ってさ。」
「ボク、別に女嫌いじゃないです。こないだも楽しかったですよ、それなりには。」
「なら、効果があったってことだろ?こないだはアキラよりも少しおねいさんが多かったから、今度は同い年か年下だ。さて、どんな効果が現れるかな。」
「うう、なんだか実験台にされてるみたいで良い気分じゃないです。」
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