六章:開戦

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ーーサンニア、AAA改、シェス部屋ーー 「部屋で隠れてろって言われたけど、普通に問題を先延ばしにしてるだけだよな…」  シェスは自室のベッドに潜り込んでいた。先程の放送はシェスの部屋のみ流れていなかったのである。 「俺は戦わないといけないな。少しでも早く戦争を終わらせるために、相手を殺さないようにしながら…」  シェスはいろんな意見を聞いて、この考えに至っていた。ハイパーの新型ユニットはほぼ完成している。修理の方が時間を要するだろう。 「後でキャニー姐さんには謝ろ…それで、俺はもう大丈夫だって事を言おう。姐さんだけじゃなく、ウローラ艦長たちにも」  言いながら何故か孤独感を覚えた。そしてレモアの笑顔が頭によぎる。 「レモア…俺、戦うよ。君みたいな子をこれ以上増やさないために。独りは哀しいから…」  その時、出入り口のハッチが音を立てる。  シェスは施錠していたはずだと思った時に出入り口のハッチは開いた。 「あれ!? なんで…」  シェスは飛び上がる。そこには笑顔のヴァリルアーネがいた。 「見つけたよ、シェファード君」 「ヴァリルアーネ? なんでここに…」  ヴァリルアーネは「まあ、ちょっとね」と近づいてくる。  シェスは「え、怒ってる?」と壁に身を寄せるが、ヴァリルアーネは手を差し伸べた。 「怒ってなんかないよ。よくやってくれた。これからも頼むよ」  ヴァリルアーネは笑っていた。冷酷なまでに。
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