七章:転瞬

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ーーサンニア、シェス部屋ーー 「そう…戦う事に決めたんだね…」  シェスはミリィを部屋に呼んで決意を話していた。 「ああ。俺に政治は向いてない。だから俺は俺なりの戦い方で平和を目指す。相手を…人を殺さない方法でな」 「シェス…なんだか吹っ切れたみたい。とても凜々しく見える」  シェスは気恥ずかしそうに頬を掻く。その時『シェス様、いますでしょうか~?』とクルナの声が聞こえてきた。 「クルナ先生? いるぜ。入っていいぞ」  クルナは『失礼します~』とドアを開ける。だが、ミリィがいることを確認すると一瞬、戸惑うような表情を見せるが「…お邪魔だったでしょうか~?」と言ってきた。 「な、何を言ってるんですか!? 私はシェスに呼ばれただけです!」 「そうだぜ。この前みたいにキスしようとしてたわけじゃないし」 「前のはする気だったの!?」  詰め寄るミリィにシェスは「いや、眠り姫って…」と言うが、クルナが「申し訳ありません。今は私のお話を聞いていただけますか?」と言ってきた。  シェスとミリィは少し真剣な表情になる。 「エンケの事か?」 「…いいえ。シェス様、あなたの脳検査の結果が出たので、そのご報告です」 「なんだ、そんな事かよ…って何か問題あったのか?」  クルナはシェスに結果表を差し出す。だが、数値やグラフだらけで一目見ただけでは分からない。 「ええっと……ミリィ、分かるか?」 「私も分からないよ…クルナ先生、何が問題なんですか?」  クルナは何も返さず悲しげな目をミリィに向ける。ミリィは首を傾げるが、シェスが「まさか腫瘍とかあったり…?」と口にしたため、クルナが「違います」と言い切った。
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