五章:格差

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 だが、教師となる人物は軍の関係者で構成しなければならず、世界連合軍の代表である[ヴァリルアーネ・ラリアンクス]は頭を抱えた。そこで手を挙げたのが[地球統合軍]の脱走兵[ウローラ・バール]だった。 「教師という役割を担えるかは分からないが、乗組員で真似事は出来るはず」  これをきっかけに機動戦艦[AAA]の乗組員がシェスとディイスの勉強を見ることになった。  だが、シェスは「どうせならミリィたちも」と言い出し、ヴァリルアーネの娘のファミリアス、保護しているミリィ、シロハ、セリハもこの勉強に参加することになったのである。  勉強の基準は人工島[サンニア]の元となったニホンの学力を平均として進んだ。そして今現在、シェスだけがその平均を超えることが出来ずにいた。 「キャニー先生―!クルナ先生―!終わったよー!」 「わ、私も終わりました」 「はいはい~それでは私が採点しますから、二人とも持ってきてくださいな~」  シロハは元気よく「はーい!」と返事をして、セリハは静かにプリントをクルナの元に持って行った。シェスは突っ伏したまま二人を見る。 「元気が良いな、二人とも…俺と一緒に勉強なんて嫌だって言おうぜ…」 「シェス、そんなこと言っちゃダメだよ。私が教えてあげるから一緒に頑張ろう?」  ミリィが椅子を持ってシェスの隣に座る。だが、シェスは突っ伏したまま動こうとしなかった。     
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