八章・疑念

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ーーサンニア、元ヴァリルアーネ私室ーー 「どういうことだ……何でエームが父さんと……」  シェスたちはアルバムを見てがく然としていた。宇宙軍の勧告はすぐに遮断されたため、この人物が誰なのか、という問題に集中することが出来た。 「……私も分からない。でも、この人って前に話したウェンデブルさんよ。ほら、二年前にチラッと話したでしょ?」 「それは覚えてる。だけど、なんでエームと全く同じ顔なんだよ……ドッペルゲンガーの類いなんて……」  シェスはいくつもページをめくる。だが、どれもグレイと共に笑っているのは紛れもなくエームであった。この状況にミリィが口を開く。 「エームさん、呼んでくる? 心当たりがあったりするなら……」 「いや、今のエームは記憶が欠けてる。下手に思い出させようとしても……ってか、同一人物なのかどうかも分からないのに見せても混乱させるだけだ」  シェスの説明にミリィは小さく肯定を返す。そこでシェスは立ち上がり、遺品の数々を荒らし始めた。 「何かウェンデブルって奴が関連している物が残ってるかもしれない! 死んだ奴の物を荒らすのはアレだけど、今は!」  様々な遺品を物色するシェスにファミリアスもアルバムのページをめくる。そこで写っていた人物たちに目を見開いた。 「これ……お母様とお父様?」  写真に写っていた女性と男性。それはファーミットとヴァリルアーネであった。  だが、その光景。ファーミットがヴァリルアーネに頭突きをしているのである。 「これ……まだ二人とも若いですね。もしかしてシロハちゃんとセリハちゃんに教えたのって……」
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