八章・疑念

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ーーディサピアランス付近、ディフェーネ機ーー 「クッソ! 隔壁が破れねぇ!」  ハイ・スピードはディサピアランスの目の前にまで到達していた。  しかし、内部へ侵入するための隔壁を破壊できずにいた。  ハイ・スピードの火力では隔壁を破壊できる武装が無かったのである。それでもディフェーネは確認されている隔壁に攻撃を続けていたが、とても破壊できるとは思えなかった。 「どうする……? もう時間はねぇ。だからといって、探す時間も……」  ディフェーネの呟きにもディイスは何も返さなかった。これがディイスにも打開策が無いことの証明になり、ディフェーネは唇を噛む。  もはや宇宙軍の防衛部隊も攻撃してこず、ディフェーネの怒りはさらに増す。  しかし、ディサピアランスのエネルギーは増大し、今にも照射されてもおかしくなかった。 「どうする……機体をぶつけても、隔壁だけぶっ壊したところで」  ディフェーネが立ち尽くした、その時『どけ、ディイス!』と声がコックピットに響いた。  ディフェーネがレーダーを見るとリーヴァス・リペアが接近してきていた。
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