序章:帰還
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序章:帰還

――第一ガーベッジ[ガーネット]軍港――  宇宙に彗星が走る。その彗星は真っ直ぐ巨大な人口地、[ガーベッジ]に向かって行っていた。その彗星の正体は人型機動兵器[ファクター]だった。  ファクターはガーベッジの軍港に辿り着く。軍港には数人の[宇宙統合軍]の軍人が待ち構えていた。 「全く、この二年行方をくらましておいて、突然戻って来るとは」  宇宙軍の軍人[オルフ・ターライ]はため息を吐くように言う。この言葉に他の軍人が問いかける。 「この二年、中尉はどこに身を隠していたんでしょうね。しかも新たなファクターも準備してくるとは」 「その辺りは機密事項だから私にも分からんな。しかし、送られてきたデータでは[リーヴァス]の発展型とあるが、リーヴァスのデータ自体が無いから分からん。上層部も何をもって疑わずに受け入れろと言っているのだろうな」  そのファクターの胸部のハッチが開き、パイロットスーツを着た一人の人物が降りてくる。その人物はオルフがいる場所から隔たれた一つの部屋に入る。その部屋のハッチが閉められたと同時に空気が流し込まれた。十分な空気が流し込まれた段階でその人物はヘルメットを脱ぎ、オルフの前に現れる。 「久しぶりだな[エーム・ウェル]中尉。いろいろと聞きたいことがあるのだが」 「すまないが、貴様が聞こうとしている事には答えられない。ステルスマントの準備は出来ているのか?」 「ふてぶてしい態度は変わっていないようだな…出来ているが、どうするつもりだ? 今は休戦協定が結ばれているから表立って行動はできんぞ?」  エームは鼻を鳴らす。そしてヘルメットを脇に抱えて床を蹴ると、オルフを横切った。 「やりようはいくらでもある。休戦協定など一つ条約を破れば簡単に破綻するものだ。それに、この二年で三軍とも準備はしてある。それで休戦協定などとうつつを抜かすのもアホらしい」 「戻って来ていきなり物騒な事を言うな。そんなにも倒したい相手がいるのか?」  エームは足を床に着けると、目だけをオルフに向けた。 「世界連合軍の[シェス・ラックス]二年前に散々コケにされた返しはしないとな」 「だが、中尉の機体は宇宙用だろう? 重力下で運用するには向いていないだろう」 「二年前とは違う。俺の機体[ファルヴァス]はな」  そのままエームはエレベーターに乗った。
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