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五章:格差
――サンニア、ラリアンクス家勉強部屋――
「もうヤダ勉強なんて…」
シェスは机に突っ伏して声を絞り出していた。この様子に[ディイス・ラックス]が呆れた口調で言う。
「兄さん、因数分解ぐらい出来るようになってよ。というか兄さんだけだよ? まともに追いついていないの」
「うるせ…てか、こんなの実際の生活で使うのかよ…」
シェスの言葉を[キャニー・リライン]が黒板前の教卓で拾った。
「似たようなことはファクターを設計する時に使うわよ、シェス君。それに、他の子は皆年相応というかそれ以上は出来てるんだから、シェス君だけ落ちこぼれるわけにはいかないわよ?」
シェスは「マジっすか…」とため息を吐くように言う。
部屋には他に[ファミリアス・ラリアンクス]、[ミリィ・アンフェル]、[シロハ]、[セリハ]がそれぞれの机で勉強をしており、キャニーの横には[クルナ・ハルロット]が立っている。
この教室のような一室はシェスが提案したことから始まった。休戦協定が締結されてからシェスとディイスは最低限の学力をつけるために勉強をすることになった。
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