七章:転瞬

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七章:転瞬

ーーサンニア、ヴァリルアーネ私室ーー 「じゃあ、兄さんには隠したままにするんですね?」  ディイスはAAAの乗組員の連行を完了した後、ヴァリルアーネの私室に来ていた。 「ああ。シェファード君にはバレずに連れてこれたからね。知られていたら少々厄介な事になっていただろう」  ヴァリルアーネもシェスを自室に連れて行ってから私室に戻っていた。AAAの乗組員に一切会わせることなく。 「これからどうするんですか? ハイパーの強化ユニットは完成間近ですが、修理はリラインさんがいなくなったから議会までに終わらせるのは難しいと思います」 「それなんだが、明日にでも私以外に誰を連れて行くか会議を開くことになった。ディイス君も参加してほしい」 「会議? 兄さんが護衛で行くんじゃないですか?」  ヴァリルアーネは「ハイパーに乗っていないなら象徴としての働きはないよ」と言い捨てた。 「シェファード君にも参加はしてもらうが、私が行かせないように仕向けるよ。ディイス君もサンニアの防衛として残ってもらわないと困るかな」 「僕だって白兵戦はできます! それに、もしもの時はディフェーネに…」 「君は私の補佐役だから表立つ必要はないと言ったはずだ。あと、防衛は地球統合軍や宇宙統合軍の事を言っているのではないよ?」  ディイスは「え?」と意味が分からないと言うように声を漏らす。ヴァリルアーネは優しく説明した。 「正確には監視役だね。バール大佐たちを拘束したことをファミリアスが知らないはずがない。解放しようとしたら撃ってもいい」  ディイスは平然と返事をしようとしたが「う…!?」と立ちくらむ。するとヴァリルアーネが言い放つ。 「ディフェーネ君、邪魔をしようとしたらどうなるか…分かっているね? 私がEⅨに行っている間に邪魔をしても得はないよ」  ディイスの目つきが一瞬変わったが、すぐに戻り、ディイスも倒れることはなかった。 「…すいません。ディフェーネは本人格なので出てくる事は抑えられないんです…」 「分かっているよ。ディフェーネ君も愚か者ではない。今は理解してくれなくてもいつかは受け入れてくれるはずだ」  ディイスは「…はい」とだけ返した。
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