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八章・疑念
ーーサンニア、軍本部ーー
「ディサピアランス……ガーベッジそのものを衛星兵器と化した代物か……」
軍本部で回線がジャックされた状態でウローラは電子タブレットでメレミアが解析したディサピアランスの情報に目を通していた。
ディサピアランスはガーベッジの太陽光パネルからエネルギーを吸収させ、その大口径から高濃度のレーザーを発射出来る衛星兵器だった。
「宇宙軍の代表が言っていたことは間違っていないと思います。解析しただけでも大陸一つを消滅させることなんて容易な程の数値です」
「動き出さなかったのはこういうことか……だが、宇宙軍にとって地球など邪魔でしかない。こうなることは予測出来たと言えば出来たのかもしれんな」
現在も回線はジャックされたままなので、どこにも通信を繋ぐことは出来ずにいた。そこでメレミアはウローラに問いかける。
「これからどうされるんですか? 世界連合の部隊だけでは……」
「うむ。シェス君と相談になるが、地球軍の手を借りる事になるだろう。ミニク大尉やコトルト少尉のように異を唱えている人間は少なからずいる」
「……あの応援信号を信じるということですか? シェスならすぐに受け入れるでしょうけど、他に抵抗をする部隊もいるはずです」
メレミアの意見にウローラは「分かっておるよ」と優しく返した。そして踵を返す。
「シェス君を呼んでこよう。彼がどのように考えるか、行動するかで全てが変わってくるからな」
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