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「え、ど、どうして」
「だってこの前から二人とも全く絡まなかったじゃん。
今までなら、私たちと一緒にいても、たまにさとに構ってきてたのに」
「そうだったっけ?」
私はそういう意識はなかったんだけど、言われてみると、そんな気もする。
美咲は気づかわし気に私に尋ねた。
「ケンカでもした?」
とっさに答えられなくて、私はグッと詰まる。
あれをケンカというんだろうか。
どちらかというと、絶交宣言?
「ケンカはしてないと思うんだけど……多分、私に愛想をつかしちゃったのかなーなんて」
苦笑いをしてみせたけど、ちゃんと笑えてるだろうか。
美咲はちょっと首をかしげてから、ポンポンと私の背中をたたいた。
「まあ、時間を置けば、解決することもあるよ。
何があったかはわからないけど、さとなら大丈夫。
私が保証するから!」
何の根拠もない励ましだとはわかっていたけど、美咲の優しさが伝わってきて、私も頷いた。
「よし、打ち上げ、行くぞ!」
「うん、行こう行こう」
打ち上げは定番のカラオケで、私は美咲たちとさんざん歌って笑った。
秀君はどうしているんだろうと気になりながら。
こうして私の高校生活は、またしても失恋で終わった。
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