第一章

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 八岐大蛇の息子と言う出生から、全ての憎悪を背負い込まされた蛇神がいた。  現代になって諸々のことから解放された彼は、助けてくれた娘を嫁と決め、押しかけてなんやかんやでゲットした。  とまぁ感覚が大昔な神様にとって、現代文化は戸惑うことも多いわけで。  これは時系列で言うとクリパ(サプライズ結婚式)より前のお話。 ☆ 「いいか。今日は重要なミッションを遂行せねばならない」  俺はしごく真面目に宣言した。  配下の剛力(ガチムチマッチョ兎の妖)と流紋(鬼なのに純朴弟キャラ)が真剣に頷く。  場所は街にできた大型・郊外型ショッピングモール。知人の妖狐警察長官が持つ御影グループのものだ。  本日俺の最愛の妻・東子が俺の配下の雪華(大和撫子な鶴の妖)に連れ出されてショッピングに来ている。俺たちはそれを陰から見てるとこだ。 「そう―――東子に贈る結婚指輪をどういうのにすればいいかという非常に難解な問題だ」 「はい!」×2  誰だ、今机につっぷした奴とずっこけた奴。  重大問題だぞ? 神生(人生)における最も重大なイベントといっても差し支えない。プロポーズしたことある人なら納得してくれるはずだ。  結婚指輪や婚約指輪を選ぶって、ものすごく大変で勇気がいるんだからな!  同意してくれた男性陣、ありがとう。  俺も事前に有名ブランド宝飾店を回ってみた。店員にあれこれ聞いてみたところ、デザインについては好みがあるので何ともいえないらしい。定番を見せてもらったが、やはり人によっては気に入らないこともあるとかで、購入を思いとどまった。  なら本人を連れてって一緒に選べと言うかもしれないが、それができれば苦労はしない。そも指輪の話題が出た時点で「は?」と冷めた目向けられるの分かりきってる。  東子にとってはいまだに『守ってもらう代わりの契約結婚』みたいだ。  別にさー、契約結婚からの真実の愛って鉄板コース、ツボだけどさー。もうちょっとデレてくれてもいいじゃないか。しょぼん。  てわけで密かに好みをリサーチし、返却できない状況で押しつ……渡すしかない。と結論し、こうなってる。  長くいじめを受けていた東子は女友達を買い物に行ったことがない。喜んで応じるとふんだ。雪華がさりげなくアクセショップに誘導してくれることになってる。 「ところで、九郎様のその格好は何ですか」
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