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結局良いカーテンは見つからず、
遅くまで開いているショッピングモールのフードコートに並んで座る。
引っ越し蕎麦ならぬ、
引っ越し拉麺
「窓、隠せる布とか持ってるん?」
昴は小気味良く麺をすすり、
私は手付かずのラーメンを見下ろす。
「あったかなぁ。
無かったら最悪バスタオル」
「ちゃんと隠した方がええで。変質者かもしれんやん、あいつ」
トイプードル君、変質者呼ばわりされてますよ。
笑いながら、スープをレンゲで掬う。
貸し切りみたいなフードコートには、
私達ともう1組。
ブリーチされた少女たちの髪は、
彼女達と同じに疲れている。
「あの子ら、家出中かな」
「……さあ。出たくなる家なんちゃう」
昴はあっさり切り捨てると、
スープを一気に飲み干した。
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