BANANA

9/14
前へ
/225ページ
次へ
『…春子さんは?』 『おばちゃんは知らんよ。携帯出えへんし』 『…違う違う、春子さん帰ってくんのん遅いなぁ…もう夕方やで。』 おっちゃんはそう言って、また焦点が合わなくなった。 『…とりあえずな、検査入院せなあかんみたいやし、隣の川崎さんにおっちゃんのこと、頼んでいくわ』 壁に向かって私は言い、 翌日にはコンビニを辞め、男と別れた。 金髪で、左腕に私の名前の刺青がある。 AO FOEVERと刻みながら、 1度も本気で私を愛さなかったバナナ男と。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加