冥土アドレス

今はもういなくなってしまった大切な故人と、また連絡を取り合うことができたなら……。

誰しも一度くらいは、そんなことを考えた経験があるでしょう。

自分を育ててくれた両親、共に未来を歩むはずだった最愛の恋人、元気に成長してくれると疑わずにいた我が子。

もう一度声が聞けたら、他愛のない会話をして笑い合うことができたら。

どんなに切実な気持ちでそれを望んでも、亡くなってしまった相手とは、夢や思い出の中でしか会うことはできません。

しかし、会話は無理でもメッセージだけのやり取りなら、死者と交流できる方法が存在するという噂があるのです。

それは、“冥土(めいど)アドレス”と呼ばれるメールアドレスを入力し送信すると、やり取りをしたい故人から返信が届く、という噂です。

それは普通のアドレスと違い、一見文字化けした記号の集まりのようになっているそうです。

そのアドレスの途中に、連絡を取りたい故人の名前をローマ字で、次いで生年月日を数字で入力し送信することで、相手へメッセージを届けることができる。そう言われています。