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お風呂に入って後は寝るだけという状態までになってから先の時間が、響にとって本当に素になれる時間だった。
湯冷めしないよう裏ボア付きのベージュのパーカーを羽織り、ネット通販で買ったばかりの三毛猫の形をしたルームシューズに足を入れる。
そして、明日の目覚ましの予約時間をスマホに入れ直してそれをベッドの傍らへと置くと、響は斜め前にあるデスクチェアへと腰を降ろした。
シルバーグレーのノートパソコン横に無造作に置いてあったブルーライト対策用の眼鏡をかける。長時間、それも毎日使用するともなると、流石に目が疲れるからだ。
何百、何千回打ち込んだか分からないくらいに慣れたログインパスワードを、ほぼ無意識に近い感覚で打ち込む。
すると、目の前に広がる見慣れたホーム画面が現れる。
ようこそPRINmakerさんという言葉と共に。
いつからかその文字を見る度、響は自分の心が穏やかになっていくのを感じるようになっていた。
響がログインしているのは人気のあるSNSではなく、どちらかといえば小規模系のブログ交流サイトだった。
何故、誰もが利用している人気でお洒落なSNSではないのかというのには、少し変わった理由があった。
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