一章【文武両道は天才と読む】
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ボスっと鈍い音が周囲に響くと同時に、う、とカルシンが声をあげる。みぞおちに拳を沈ませて、力なく倒れ込んだ体を受け止めた。 静かに地面に下ろして、痕跡を消す。 (今の音、聞かれていなければいいが) 跡を残さぬよう、音を立てぬように、スャムはその場から走り去った。 その直後、気を失っているカルシンを見つけたエンセライル兵の見回りが、仲間を呼んでいるのであろう声が、スャムのはるか後方で虚しく響いた。
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