第4章

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入学当初は、オリエンテーションやら各種申込やらで忙しく、つぐみにも会えない日が続いていたが、1ヶ月たって、時間割も決まるとだいぶ落ち着いてきた。 「実くんの私服姿って、なんか新鮮だね」 シフト休で平日休みだったつぐみを誘って、ハンバーガーショップと同じ敷地内にあるウッドカフェに来れたのは5月になってからのこと。告白してからもう2ヶ月が経過しようとしていた。 「え、いやでも、全身ウニクロだし。お金なくって」 「いいじゃない、ウニクロって、スタイル良くないと似合わないんだよ?」 「えっ、おれ、似合わないかな?」 「まさか」 大きめのカップにつがれたカフェオレを、つぐみはさも美味しそうに口にしている。この店の目玉は、モーニングでだされるパンケーキセットなのだが、11時くらいに着いたため、一人分しか頼めなかった。なので当然つぐみに譲った。 なんかそれだけでも大人の男になったみたいで、照れくさく、そしてちょっと誇らしい。 「うう、ここのパンケーキ、ふわふわだよー! 実くんも食べてみる? 蜂蜜がじゅわってしみてて、美味しいのー!」 「えっ、いや。おれはいいよ。つぐみねーちゃん食べてよ」 本当は呼び捨てか、つぐみちゃん、にしたいところなのだが、いざ呼ぼうとするとタイミングがつかめなかった。 まあ呼び方なんてどうだっていいし。大事なのは誠意だ。誠意とまごころだ。ん? 一緒の意味か。
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