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「修治は特に言葉の細かいニュアンスにセンシティブでいないと」
小説家なんだから──諦めて一緒に夕食を摂ろうとキッチンに向かいながら、私はその言葉を背中で聞き流した。
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私と白石の付き合いは長い。長いというより腐れ縁である。
彼と私は元々クラスメートだった。当時まだ未成年教育制度は改編されておらず、通っていた高等学校で知り合った。
在籍当時は特に親しいわけではなかったのだが、卒業後なぜか外出先で鉢合わせしてしまうことが多く、互いに無視するわけにもいかず──二言三言会話を交わす内にいつのまにか親しくなってしまった。実際、白石の着眼点と発想の面白さには目を見張るものがあった。後に、よく出会ってしまうのは二人の生活圏が重なっていたからだと判明し、それならばと互いの家に尋ねて行く仲になり、なし崩し的に今の状況に至っている。
白石はDエリアにあるSINAGAWA産業技術ラボラトリーの生物模倣部門の研究員として働いている。私はあまり詳しい話を聞いたことがなく、自然界に元々ある優れた仕組みを研究分析して新製品開発に応用する技術だということを何となく把握している程度である。ここでも私は、やはり人は結局自然には敵わないのだという気にさせられる。
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