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2201/7/23/10:31 ケルスティン
ロイが賢いことはあたしだって勿論知ってる。
だから仕事でもチームの統括役を任されているし、どうすればリスクを最小限に抑えられるか考えるのも得意だ。情報の記されたメモを挟める、隙間の空いた偽造カードを何も加工していないように見えるよう工夫したのだってそうだ。
ロイは国有未成年の誰よりも優秀だろうとみんな言う。もし地下の子じゃなかったら。生まれで惜しいことしたな、そんなふうに言う。
──知ってるよ。
ただ、ロイの賢さは万能じゃない。
あいつは数学的に賢いのだ。文学的な賢さは持ち合わせていない。
大抵、注目されたり褒められたりするのはロイの方だった。
ロイは賢いし役に立つ。大人から期待されて、頼りにされている。でも、あたしは密かに不安に駆られていた。妹のあたしはロイと違って役立たずなのかも知れない。迷惑なのかも知れない。
あたしがいてもいなくても。
そう思われるのが怖くて、だから役に立たなきゃ、とか思う。仕事をしたいと言い出したのもそういう気持ちからだ。居場所はここにちゃんとあるはずなのに、無いような気がして不安になってしまう。
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