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あたしのそういう気持ちはロイには分からない。どれだけ賢くても、分からない。意地悪じゃなくて本当に分からないのだからそっちの方が却って辛い。
──と思ったところで考えるのを止めた。
どこかでぽたぽたと天井から落ちる水の滴りが聴こえる。この間の雨水がまだ残っているのらしい。
昼間は手持ち無沙汰だ。こういうときの時間の上手な使い方をあたしは知らない。今の時期、外はやたら暑くて消耗するだけだし、分担制になっている午前中の活動はひと通り終わってしまった。
──つまんない。
何もすることがないので劣化してひび割れたコンクリートの壁を無感情に眺めて座っている。エアコンディショニングがなくても充分に涼しいというのは地下の利点だ。その代わり冬が厳しい。しかも国から供給される暖房燃料はごく僅かだから、出来るだけ工夫しながらみんなで寄り集まって寒さを凌ぐしかない。暖かい自分の部屋を与えられて、心配なく何もかも大人からの世話を受けられるのは、ただぼうっとしているだけのセンターの子どもなのだから世の中は不公平だ。
本当に不公平だ。
あたしとあの子たちの違いといえば、生まれた環境だけだというのに。
ぐるりと首を動かして360度見回す。
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