2201/7/23/10:31 ケルスティン

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リサがにこりともせず言うのが可笑しくて、なんだよと笑った。 水沢の奥さんとリサが行ってしまうと、また退屈が訪れた。追いかけて行ってリサと遊ぼうか、と思いかけてやめる。あんまり元気じゃなかったからだ。水沢の奥さんに「寝なさい」と突き返されてしまう。試しに丸めたタオルを枕にして横になってみる。 ──駄目だ。 横になったら却って頭が冴えてくるようだった。いつもはそんなことないのに、今日は色んなことを考えてしまう。しかも自分ではどうにも出来ないこと。気持ちが後ろ向きになること。たぶん今朝見たニュースのせいだ。寝返って仰向けになったら、天井のグレイが見えた。 ロシアと戦争になるかも知れないらしい。 ニュースでは直接そうは言っていなかったけれど、大人は口々にそんなことを言っていた。みんなスクリーンを真剣な顔で睨んでいて、戦争ってなにと聞いたらちょっと黙ってろと叱られてしまった。国同士で人殺しをすることだと、ロイが耳元で教えてくれた。 もし、そうなると──戦争になると──国から援助されている食糧の供給がストップするかも知れないし、最悪の場合この場所も破壊兵器で攻撃されて全員死ぬかも知れない。 死ぬかも知れない。 戦争で。     
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