2201/7/23/10:31 ケルスティン

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「東京は首都だし、重要機関も多いから真っ先に攻撃されるかも知れないな」ともう戦争になるのが決まりきったことみたいな言い方でロイは冷静に呟く。なんでそんなこと言うの、とあたしは子どもみたいに無意味に怒った。 「そういう可能性があるってだけ」 「もう決まったことみたいに聞こえた」 「そんなこと言ってない」 そうじゃない。あたしが怒ったのはそういう事じゃない。違う、そもそも怒っているんじゃなくて、怒っているのはあたしの表側だけで、奥の方の気持ちはそうじゃなくて──。 そんなわけで眠れそうもなかった。 あっさりと寝るのを諦めたあたしは飛び起きて階段を駆け上る。出入り口から外を覗いてみると、空全体を雲が覆っていたけれど太陽がちょうど真上あたりに来ているのがぼんやりとした光で分かった。 今日の空はいつもと同じ色。昨日はびっくりするくらい綺麗な青空だった。あんな濃いブルーの空は初めて見た。あれを見ることができたのはラッキーだったと思う。 そして、そう、もうひとつ珍しいものを見た。珍しいもの──というか、珍しい人。 センターの子ども。 ナツメ、とかいう名前らしい。たぶん年齢はあたしと同じくらいだ。脱走癖があるとかいう変な子だった。 でも、不思議と憎めない感じがした。センターの子なのに。 ──もしかしたら今日も会えるかも。 あの子に会えたら気が抜けて、嫌な気分もどこかへ行ってしまうかもしれない。     
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