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面倒だと思われてしまっても──心の中でそう繰り返す。他の子がちゃんと守れている決まりを、わたしだけが性懲りも無く破っていた。本来自分とはなんの繋がりもない、迷惑行動を繰り返す子どもの責任を取らされるのなんてわたしだって嫌だと思う。言われなくとも迷惑なのは自覚していた。
わたしはひとり、汚れたシューズを脱いだ裸足の足でだだっ広いセンターの館内を淡々と歩く。フロアが素足にひやりと冷たい。途中、スリッパを借りてレセプションエリアから出ると、普段見慣れている廊下がとてつもなく長く見えた。
どこのクラスも受講中だからなのか、子どもは誰も歩いていない。わたしのグループも今は語学のレクチャー中で、日菜子さんは次のレッスンから参加するようにと言っていた。それまでは自室待機するよう指示された。
スクールエリアをやっと抜けて、プライベートエリアである北側のE棟へ繋がるエレベータのドアを開ける。E棟の四十階でわたしはその閉鎖空間から吐き出された。突き当たりまで進んで、首に下げていたオフィシャルカードを手に取る。
6431383NATUME.
裏面の右端には簡素にそれだけ記されている。同じオフィシャルナンバーが掲げられているドアの前に立つ。翳すと中央の赤い光が瞬き、ロックが解除された。
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