春、花粉、天敵

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春、花粉、天敵

春。新生活に心が踊る新しい季節。 桜が咲き誇り、ちらちらと落ちてくる花弁。 うららかな日差しが暖かい。 桜並木を清々しく歩き、真新しい制服に身を包む新入生を優しい目で見守る ああ、なんて清々しい――― 「わけもなく!!」 ざ~んね~んでした!!! 桜?こっちじゃ満開なんてGWですけど?!桜並木?!んなもんありませんけど?! 雪も残っていれば道路はガタガタ、道も汚い、うららかな日差しなどありもせずまだコートとマフラーが必要な寒い朝!! しかも遅刻ギリギリな私は自転車で大爆走!新入生?入学式はもっと遅くからだからまだ登校してねーよハーゲ!!! ああ春!!なんて最悪な季節だろう!!春休みなんてたったの1週間なくせに宿題は出るし補講に来いっつーし自転車はまだ乗るなって言うしたまに雪降るし最悪!!良いことなんてありゃしない!! あ、でもお菓子は美味しい。 だからといって許せる訳では無い、そう、なんと言っても天敵がいるからだ。 そう、花粉。 最悪だ。朝から目も痒いし鼻水くしゃみは止まらないしおまけに喉もかゆい。ふざけるな。私の安眠を返してくれ。おかげで現在遅刻ギリギリだろーが殺すぞ花粉!!! そうこうしている内に学校へ到着したらしい。あ、まっず校門に先生いるじゃん自転車怒られそ 「速水、自転車まだ許してないぞ」 「先生その前にティッシュください鼻水が」 「おま、女子でそれはアリなのか?鼻水…凄いぞ」 「しってう」 「汚い」 「ひどい…」 「ほら早く拭け…」 「ズビーーーー」 「汚い」 「ひどい」 自転車のことをはぐらかしながら校舎へと入る。ちなみに今のは数学の先生。去年子供が生まれたって言って大喜びしてたから「先生の子供ってことはゴリラ?」っていったら次の日の授業は私しか当てられなかったから相当根に持っているらしい。だって先生ガチムチゴリラやん。本当のこと言っただけなのに。二度と言わないけど 校舎はわらわらと人が溢れている。そりゃそうか、クラス替えだもんね。私もクラス替えの表を覗き込む。1年の頃は3組だったけど、どうかなー。花と一緒だったらいいなー。 「あ、おはよう速水。あんた私と一緒でまた3組だよ」 「はぁ?ふざけんななんで言うんだよテンションガタ落ちだわおはよう嬉しい」 「え?なんでキレられたの?」 「クラス替えの表見ながら『私何組かな?○○くんと同じかな??』ってドキドキするのが鉄板だろ!!!ネタバレやめてください!!」 「知るか殴るぞ」 「ひぇ…花が暴力的…」 「それより鼻水出てる汚いやめて」 「ごめん」 幼稚園からクラスがずっと一緒な花。辛辣で暴力的だけど魅力的な彼女。ちなみにバレー部。すげぇよな。 え?私?帰宅部。だって部活とかめんどくさいじゃん。ってのらりくらりと去年は凌いできたけど今年はダメかもしれない。なんせうちの学校部活は強制的に入れってよく分からないルールがある学校なんだ…いやだよー帰宅部でいたいよー 「バレー部楽しい?」 「速水がやったら多分30分で辞めるって言うと思う」 「30分てウォーミングアップじゃ」 「校内走とシャトルランと柔軟筋トレ…」 「辞めます」 「入ってないだろ」 「運動部は無理だ」 「なんで?運動神経いいじゃん」 「運動神経良い=運動出来るじゃないんだよ。やる気がある=運動出来るなんだよ」 「要するにやる気がないのね」 「YES」 あんたにやる気を求めても仕方ないわ、と言われつつ教室のドアを開ける。開いた音に皆顔を向ける。新しい人もいれば前の組からの友達もいておはよー、と声を掛けたりかけられたり。黒板まで近づいて席を確認。 お。ラッキー1番後ろだ 「よっしゃ寝放題!」 「5分おきにスヌーズ掛けとくわ」 「それどんなアラーム?迷惑だし没収されるわ」 「お前のスマホがね」 「ふざけんなよ…そしてまたお前が一緒かよ…なんで席まで隣なんだよ…」 「よ」 「あら赤塚。同じクラスだっけ?」 「らしいね。ちなみに七瀬も」 「うんそれは見た」 「俺は見られてないのか」 「速水ちゃんは無視ですか?無視なんですか?」 「速水気付きなさい。赤塚はあ、なんだから席は隣じゃないわ」 「よっしゃktkr」 「なんで俺いつも最前列なんだろ…これが志希にゃんのライブだったら…」 「うわでた志希にゃん」 「俺の女神だから」 「キモイ」 赤塚祐。1年の頃も同じクラスで何故か花と意気投合。自然と私とも仲良くなった男子。基本的にデ○ステしてるか寝てるかご飯食べてるか。フルコンを邪魔するとガチギレされるから二度と邪魔しない。でも腹立つ時はデレ○テしてる時にLINEでスタンプ送りまくってる。超怒られる。楽しい 「お!揃ってんな!おは「っぶぇっくしょい!!」 「うっっっわ汚っ」 「鼻水飛んだよ今」 「っくしょい!!」 「お前こっち向きながらくしゃみすんな常識ねぇのか汚ぇ」 「速水ティッシュは?」 「朝使い切った…」 「まだ朝だろ」 「ティッシュ…」 「あーもうほら、これ使って」 「花…ありがとう…綺麗なハンケチ…」 「やめろ笑う」 「ハンケチーフ…」 「やめて速水笑う」 「お前ら俺を無視るのやめて?!?!??!!!!」 涙目でやってきたのは花の彼、七瀬。バスケ部。祐くんと仲がいいと七瀬は言っているが事実、よく分からない。っていうと七瀬はしょんもりするからあまり言わないであげている。捨てられた犬見たくなるからね。何故花と付き合ってるのかも謎。花的には「よく分からないけどまあ一緒に居て苦じゃないから結果オーライ」らしい。これも言わないであげる。しょんもりするからね 「しかし速水お前女子とは思えねぇくしゃみだけど大丈夫かよ」 「大丈夫このくしゃみを好きって言ってくれる人と結婚するから」 「今までそんな人いたの?」 「お父さん」 「お父さんもよくお前のくしゃみ好きって言ったな」 「まだ祐くんにはお義父さんなんて言わせないから!!」 「いや言ってねーよ」 「誰ポジション?」 「あ、また鼻たれてるよ」 「ティッシュ…」 「もう箱ティッシュ持ってこいよ鬱陶しい」 「鬱陶しいって言った?!ひどい!!こんなに苦しんでるって言うのに!!」 「俺は苦しんでない」 「私も」 「俺も」 「殺意が芽生えそう」 「あ、予鈴。じゃね」 「席戻ろ~」 「眠い…」 「優しい友達が欲しいよアンパンマン!!」 春は桜…いや花粉 新学期もいつものメンバーでした 速水 帰宅部を死守したい色々ぶっ飛んでる女子 赤塚祐 志希にゃんは俺の嫁。寝てるかシャンシャンしてる 花 手のかかる速水の保護者且つ悪友 七瀬 花の彼で祐の親友(自称)。不憫
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