三年前のある日

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 千代田の告白は止まらない。  「わしは、自分が”愚か者”だと思われたくなくて、つい、嘘をついた。  これが、ビジネスの現場だったらと思うと、ぞっとする。  食品の産地だったら・・・産地偽装。  部品の性能だったら・・・性能偽装。  君は、とても正直だ。名前は、何というんだい?」  そう、少年に語り掛けた。  少年は、名乗った。  そして、少年の人生を変える言葉を、千代田は告げた。  「汐屋健太郎。  君を、千代田カンパニーの時期社長に任命する」  汐屋少年はただ、ぽかんと聞いていた。  場の異変に気付いた彼の親が、ようやく慌てて飛んできた。  そして周りの幹部たちは、食べかけの花を落とし、その場に崩れ落ちた。  ******
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