三年前のある日

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三年前のある日

 ******  その日、都内某所の有名ホテルで、千代田という男の古希を祝うパーティーが行われていた。  千代田は、千代田カンパニーを一代で築き上げた敏腕経営者だが、ワンマン気質で、気難しいことでも有名だ。  その千代田が齢七十を迎え、自身の後継者を選んでいるという噂が、水面下であったものだから、幹部社員たちは内心、色めき立っていた。  会場に千代田が現れ、拍手で迎えられた。  割と長い挨拶があった後、乾杯し、歓談の流れとなった。  「社長、お誕生日おめでとうございます」  「ふん、七十がめでたいものか。どうせ君も、こんな老いぼれ、早く退けと思っているんだろう」  「そんな、滅相もない」「社長にはまだまだ、お元気でいて頂かないと」  そうです、その通り、と、千代田の周りを、イエスマンたちが取り囲んだ。  そんな幹部たちの胸中を見透かしたように、千代田は、不機嫌に鼻をならした。
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